中高生の吃音支援|思春期の「見えない吃音」にどう向き合うか
吃音は幼児期に発症することが多く、8歳ごろまでに自然に治ることも少なくありません。しかし、中にはそのまま吃音が続き、思春期・青年期まで持ち越すケースがあります。
この時期の吃音は、「どもること」そのものよりも、「どもるかもしれない」という不安や、それによって人との関わりを避けるようになることが問題となってきます。
◆思春期の吃音の特徴:「どもる」より「話せない」
小学生の頃には目立っていた吃音の症状(繰り返し、引き伸ばし、ブロックなど)が、中高生になると一見目立たなくなることがあります。
しかし、これは「治った」わけではなく、以下のような形で吃音が“内面化”している可能性があります。
- 自分の吃音に気づき、強く意識するようになる
- 苦手な単語や音を言い換える
- 話す場面そのものを避ける(例:朝のスピーチ、電話、音読)
- どもらないように頭の中でリハーサルを繰り返す
- 「どもったらどうしよう」と強い予期不安を抱える
このような状態では、たとえ流暢に話せていても、内心は強い緊張や不安にさらされており、生活の質に大きく影響します。
◆吃音がある中高生が抱えやすい悩みとは?
吃音のある中高生は、以下のような悩みを訴えることがあります:
- 「友達にバレたくない」
- 「発表のとき、いつも断る自分が嫌だ」
- 「先生に説明したいけど、話せる自信がない」
- 「電話に出るのが怖い」
- 「言いたいことを我慢してしまう」
これらは単なる話しにくさにとどまらず、自己肯定感の低下や社交不安、抑うつ傾向につながることもあります。
◆中高生に対する有効な支援①:話し方のトレーニング
**言語訓練(スピーチセラピー)**では、吃音が出にくくなるような話し方を練習します。
具体的な技法:
- 軟起声(Soft Onsets)
声の出始めをやさしく、滑らかにする方法です。発話時の「押し出すような力み」を減らします。 - 軽い構音接触(Light Contact)
口の動きを優しくすることで、ブロック(音が出ない状態)を避けやすくします。 - 滑らかな呼気(Smooth Speech)
息を止めず、一定の呼吸で話すよう意識づけます。
これらの方法は、特に難発(最初の音が出ない)に苦しむ生徒に効果的です。
ただし、訓練で得た話し方のスキルを、実生活に応用するには時間がかかります。そのため、本人の希望や生活場面に合わせて、スモールステップで取り組むことが大切です。
◆中高生に対する有効な支援②:認知行動療法(CBT)
吃音そのものよりも、**吃音を「どう捉えているか」や「どもることへの恐怖」**が問題になるケースでは、**認知行動療法(CBT)**が非常に有効です。
認知行動療法の考え方:
- 「どもったら笑われるかも…」という自動思考を見直す
- 「どもっても、目的(伝えること)が果たせればOK」という価値の転換
- 少しずつ挑戦する(暴露療法)ことで、回避行動を減らす
たとえば、「肉まんを買いたいけど、言えなかったらどうしよう…」という不安が強い生徒には、「注文できたかどうか」ではなく、「挑戦した自分を褒める」という視点を育てます。
◆家庭でできるサポート
保護者の関わりは、中高生にとって大きな支えになります。以下のような対応が推奨されます:
- 吃音を無理に治そうとしないこと(かえってプレッシャーになります)
- 本人が話しやすい環境を整える(遮らない、急かさない)
- 発表や音読などに関して、学校に配慮をお願いする(合理的配慮)
- 言い換えや回避ばかりになっていないかをさりげなく見守る
- 「吃音があっても大丈夫」「あなたの話が聞きたい」という安心感のメッセージを伝える
◆まとめ:「話せるようになる」だけが目標ではない
吃音支援のゴールは、単に「流暢に話せるようにする」ことではありません。
- 話したいときに、話してもいいと思えること
- どもっても、自分を否定しないでいられること
- 伝えたいことを、伝える勇気を持てること
これらが、思春期の吃音支援において最も大切な視点です。
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