成人の吃音支援|吃音は「話し方の問題」だけじゃない
吃音(どもり)は、子どもだけの問題ではありません。実は、思春期から成人期にかけて悩みが深まるケースも少なくありません。本記事では、成人吃音の特徴と支援方法について、最新の臨床知見をもとにご紹介します。
成人吃音の特徴:見えにくくなる「問題」
吃音は成長とともにその様相が変化します。成人期の吃音では、以下のような特徴が見られます。
- 明らかな吃音症状(連発、伸発、難発)は減ることも
- しかし「話すことへの不安」や「避ける工夫」が強まる
- 社交不安障害やうつ症状を併発することも
つまり、吃音は「目に見えるどもり」だけでなく、「話すことへの恐怖」や「社会的孤立」など、心理的・社会的な側面がより重要になります。
🌱一人で抱えず、まずは「話す」ことで一歩を
吃音があっても、周囲には気づかれないこともあります。そのため、誰にも相談できずに長年ひとりで悩み続けてしまう方も少なくありません。「もう大人だから」「今さら誰にも言えない」と感じている方にこそ、専門家への相談をおすすめします。
成人吃音の支援①:言語療法によるスキル習得
言語療法では、吃音そのものを減らす「話し方のトレーニング」を行います。代表的な方法には以下があります。
- 流暢性形成法:ゆっくり話す、やわらかい発声(軟起声)、軽い構音接触などを練習し、吃音を生じにくくする
- 吃音緩和法:吃音そのものを減らすより、「楽などもり方」を習得して、発話時の苦痛を軽減する
ただし、これらの方法は練習が必要であり、自然な会話に汎化させるには時間がかかります。
成人吃音の支援②:認知行動療法(CBT)
吃音とともにある不安や回避行動に対して有効なのが、**認知行動療法(CBT)**です。
- 「どもったらどうしよう」といった思考を修正
- 吃音が出ても発話を避けずに目的を達成する練習
- 社交不安や自己否定感の軽減
例えば、「コンビニで“にくまんください”と言えなかった」という回避行動を、「言えた・言えなかった」ではなく「伝えようとした」こと自体を肯定的に評価するなど、考え方の転換を図ります。
支援の選択:言語療法とCBTはどちらがいい?
どちらを選ぶべきかは、本人の目標や困りごとによって異なります。
- 話し方を改善したい人 → 言語療法
- 人前で話すのが怖い人 → 認知行動療法
- 両方当てはまる人 → 併用も可能です
また、補助的に遅延聴覚フィードバック(DAF)などの機器を使うこともあります。
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吃音は、適切な支援と関わりによって必ず変化していきます。「どうせ治らない」と思っている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。

