オンラインでも吃音治療は効果がある?最新研究と実践から見る可能性
吃音(きつおん)は、発話の流暢性に困難を抱える発話障害で、幼児期に発症することが多い一方で、思春期以降も悩みが続くケースも少なくありません。「話したいのに話せない」「周囲の目が怖くて話せない」――そんな悩みを抱える方の中には、対面での相談が難しい、あるいは心理的ハードルが高いという理由から、オンラインでの支援に関心を寄せる方も増えています。
この記事では、近年注目を集める「オンラインでの吃音治療」について、科学的根拠と臨床実践を交えて詳しく解説します。
吃音治療はオンラインでも可能なのか?
結論から言えば、適切な構造化と支援体制があれば、オンラインでも吃音治療は十分に効果を発揮します。
近年、COVID-19の影響もあり、遠隔診療やテレリハビリテーション(テレヘルス)に関する研究が進み、吃音への応用も拡大しています。特にLidcombe Program(リッカムプログラム)やRESTART-DCMなどの親子を介在する介入法は、家庭内での実践が中心となるため、オンラインとの親和性が高いことが明らかになっています。
研究で示されたオンライン支援の有効性
たとえば以下のような報告があります。
- **Molloyら(2020)**の研究では、4〜6歳の幼児を対象としたオンライン版リッカムプログラムが、対面と同等の効果を持つことが示されました。
- **Brumbaughら(2021)**のレビュー研究では、特に発話症状に直接アプローチする介入(Lidcombeや流暢性形成法など)は、オンラインでもセラピストのモニタリングを受けつつ十分な成果が得られると評価しています。
また、当相談室である「オンライン吃音相談」は、8年にわたる実績を持つ日本国内のオンライン支援のパイオニアとして、各年齢層に応じた支援を行ってきました。リッカムプログラムについても指定のワークショップを受講した言語聴覚士(ST)**が複数在籍しており、安心してご相談いただけます。
オンラインの利点と課題
✅ オンラインの利点
- 移動の負担がないため継続しやすい
- 保護者が家庭で実施するプログラム(例:リッカム)は、むしろオンラインと相性が良い
- 自宅という安心できる環境でセッションが受けられる
- 地域格差の是正(遠方の専門家にもアクセス可能)
⚠️ 課題とその対処
- 音声や映像の不安定さ → 通信環境のチェックと予備マニュアルで対応
- 幼児への直接的な働きかけが難しい → 保護者支援中心の介入モデルを採用
- 非言語的なやりとりが伝わりにくい → 定期的なフィードバックと記録の活用で補完
成人・中高生のオンライン支援の有効性
思春期以降になると、吃音の悩みは発話症状そのものよりも予期不安・回避・自己否定感といった心理的側面が強くなります。こうした問題に対しては、**認知行動療法(CBT)**の導入が効果的とされています。
認知行動療法のセッションは、もともとオンライン診療との相性が良いことが多数報告されており、吃音の方に対しても暴露療法やコラム法などが有効に機能します。実際に、「外ではどもっても言えないけど、オンラインなら練習できた」「一人で抱えていた悩みを誰かに話せた」という声も多く聞かれます。
オンライン支援を成功させるポイント
- セラピストと保護者の信頼関係構築
- 評価・記録の共有(SRスケールなど)
- 親が実践できる環境調整や練習のサポート
- 個別ニーズに応じた支援モデルの選択(Lidcombe, DCM, CBT など)
まとめ|専門家の支援をオンラインで身近に
オンラインでも吃音治療は可能であり、多くの方にとって実践的で現実的な選択肢です。特に、小児期の家庭支援や成人の心理支援など、家庭・職場・学校から離れることなく専門家の力を借りられるという点で、大きな可能性を秘めています。
吃音は「治す」ことよりも「一緒に向き合っていく」ことが大切です。もし今、どこに相談すればよいか悩んでいる方がいれば、まずはオンラインで一歩を踏み出してみてください。
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